鳥になりたかった
そうすれば
いつでもあなたを追って
どこまででも飛んで行けるのに・・・
いつでもあなたの傍に居てさえずっていられるのに・・・
天飛夢
運命の悪戯はいつも偶然やってくる。
出会ったのは若葉から漏れ落ちる光がまぶしい初夏の頃,
お祭りの縁日でふと,目に留まったガラスの鳥の置き物。
手に取ろうとそっと腕を伸ばした瞬間、
「あっ、」
手と手が触れ合い,不意に顔を見合した。
「・・・ど、どうぞ」
「いえ、わたしは・・・」
・・・・・・・・・・・・しばしの沈黙
気まずい雰囲気にお互い顔を見合わせ、
「ぶっ、」と噴き出した。
「もしよければ,少し一緒に歩きませんか?」
そういって微笑む相手の顔はとてもやさしかった。
「ええ、喜んで」
微かに吹き抜ける風はどこまでも心地よく、
小川に流れるせせらぎはのどかな旋律に充ちていた。
土の匂いは深く馨り、空はどこまでも青い。
「幸せ」と言うのはこう云うヒトトキなんだろうか。
他愛もない世間話に花を咲かせ、
笑ったり,熱くなったり,拗ねてみたり・・・
何でもないようなこんな時間の中に
実は他の何にも決して変えられないような
「永遠」が隠されているものなのに
人はそれが過ぎ去って
初めてそれに気付く・・・・・・・
「今日は本当に楽しかった。最後にあなたのお陰で
良い想い出が出来ました。・・・・・ありがとう」
「えっ!?」言葉の意味が掴めずに戸惑う私に、
「明日,ここを旅立つんだ」
そういって大きなその掌に両手を取られ
渡されたガラスの小鳥。
鳥になりたかった
そうすれば
いつでもあなたを追って
どこまででも飛んで行けるのに・・・
いつでもあなたの傍に居てさえずっていられるのに・・・
翌朝,あなたに寄り添うように
未来に続く長い道のりを
世界中の幸せを一人占めしたような
最高の笑顔で歩く私がいた。
私には白い翼はない。
それでもどこまでも羽ばたいて行ける
自由という名の翼がある。
たまにはハッピーエンドにしてみました。
いかがだったでしょうか?
空を飛びたい。 何にも捕らわれることなく 自由に空を舞いたい そしてこの緑を海を山を 見下ろして青に吸い込まれたい… 思わずそんなことを考えてしまいました 人間ができないことの中に 他の力を借りずに空を飛ぶことがあります でもそれでいいんだよね 人はこの地上の全てを支配できないし してはいけないのだから・… |
リッピーさんより頂きました。ありがとうございます。 |
思いでというのは美しいものですね。 初恋は成就しなかった恋ゆえにいつまでも美しい思いでとして残ります。 欲しいものが手に入ってしまうとそれはすぐに色褪せてしまい、 持ち物のひとつでしかなくなってしまいます。 手に入らないものを美しいと思いながら、色褪せてしまっている身近なものを大切にしていくことが 幸せということなのだろうと思います。 そして今の小さな幸せに満足できることが真に自由に生きていくことなのかな...。 天飛夢を読んでそんなことを考えました。 |
Takaさんより頂きました。ありがとうございます。 |