「プロ」 わたしの仕事はパソコンライフ・ソーシャル・ワーカー。 といっても機器の修理や技術指導などがメインではなく (まあそれもないことはないが)もっと多岐に渡っていて 説明しろと云われても、ちょっと難しいものがある。 一言で、尚且つ、投げやりに言ってしまえば「何でも屋」。 必要とあらばなんでもする。 わたしの名前は未来。30半ばの独身フリーター。 半年前、8年間勤めていた大手証券会社が 昨今の社会の流れに逆らいきれず この不況のあおりを受け、あえなく吸収合併。 同時にリストラ。 そしてみごとに、その対象の範疇。 無念。 しかし、いまさら失業したからといって むざむざ尻尾を巻いて実家に帰る気など まったくない。 就職と同時にマンションで一人暮らしを始めたため 今ではすっかり身についてしまった気ままな生活パターンが とても気に入っているのだ。 まあ親側としても夫婦2人の生活にせっかく馴れている頃に、 またお荷物を背負う事は 出来るなら避けたいと思うだろうと勝手に推測してみる。 うんうん。 そうと決まれば、さっそく次の就職先を捜さなければならない。 しかしこれがなかなか難儀だった。 失業して、経費節約の為にスパッと切りたいものの 一つが新聞。どうせテレビ欄か三面記事しか読んでいないのだし 最低限必要なニュースは家にいるうち中、流しつづけている テレビからおのずと入ってくるの。 しかし今はこれがあるために切れないのだ。 これとは新聞の求人欄や求人募集の折りこみ。 わりと近場でナイスな情報が載っている。 また併せて、スタンダードな就職情報誌新聞を目を皿のようにして眺め めぼしい所には赤丸をつけ、片っ端から問い合わせてみる。 それにしても自分の理想に見合う所などそうそう、あるものでもない。 既婚者ならば自分のお小遣いや生活のゆとり分ほどの収入でいいのだろうが、 たった一人の力で家賃・光熱費・食費・保険等を払っていかねばならないのだから それなりの金額がいる。それはもう死活問題となる絶対条件だ。 それともうひとつ、これは贅沢な望みとは判っているものの この際、是非とも叶えたい条件がある。 それは自分の達成感、充実感をある程度満たしてくれる職場に就きたいという希望。 いままで、いやというほど興味もわかず、ただ惰性で続けてきた仕事を 理由はともあれ、すっぱりやめたのだ。 それなのに職種が変わるのみで またこの種の矛盾を抱え込んで生活していくことはどうしても避けたい。 これは今までの日常に決別して新しく人生をやり直す為の譲れない条件なのだ。 より広く、より深い情報を得るられないかと人材派遣センターにも申し込んでみる。 そこで言われるままに能力テストや適正テストを受け登録してもらう。 いくら職業難といえども全く就職先がないわけではないそうだ。 ある程度のPC技術を習得していれば、 中小企業の事務員や、または金融会社の名前入力業務など それがなくても喫茶店のウエィトレスや 目さえつぶれば必要としてくれる職場は絶えずある。 逃げを用意しておくのは好きではないが もしいつまで経っても自分の条件に見合うところが無ければ 背に腹は変えられぬ、生活のためなら、 興味の湧かない仕事でも妥協することも仕方がないと思いながら 帰宅後、いつもの日課であるメールチェックを行っていた。 すると受信メール三件。ひとつは友人から。2つめはメールマガジン。 そしてもうひとつ…これがその後のわたしの人生を大きく変えることになった。。 それには次のように書いてあった。 つづく |