メルヘンのキーワードは
〜海と空と風・・・そしてユメ、月と花も少し・・・虹も出てたりなんか、粉雪が舞ってるのもイイ〜☆そしてここからは

メルヘン置き場です

今年も9月が終わろうとしています。 9月の雨が止んだら、またコスモスいろの風が吹いてくる。
飲みたいのはミルクたっぷりのカフェラテ、でも砂糖は控えめにね。  九月幻夢


ホンモノの

少年は かじかんだ指先で
こわれた星のかけらを
並べていました
  
  夜空色した蒼いビロウドの上に

カレの少女の じゅうごのバースデーに
少年はながーい首飾りを
贈ったのでした

少女は透明な光るものが
好きでしたから
うれしそうに 目を輝かせました

虹色のビーズ玉のあいだに
特別な形をした じゅうご個の
スパンコオルが見事な星形に
きらめいていたのですもの

けれども少女はそれを 
机の引き出しの
一番奥に 
大事にしまいこんでしまいました

その夜
 少年は夢をみました

 夢のなかで少女は
 意地悪く 言ったのです


少年は とてもとても
がっかりしたのです


そして
少女の髪のあいだで いつも
揺れてる
ガラス玉の耳飾りに
シットしたのでした
 星ならこんなにいっぱいあるわ

 
 カノジョが モヘアのカーディガンを
 ぱっと開くと 白い胸のあいだから
 たくさんの星が こぼれ落ちました 
  

やがて クリスマスの夜のこと

着飾ってやってきたカノジョに
カレは不機嫌に言いました
   ホンモノの星 ホンモノの星よ

そういって笑う少女といっしょに
星たちは流れ星になって
消えたのでした
 クリスマスプレゼントなんか
      くだらねぇ!

少年は翌朝 かじかんだ指先で
こわれた星のかけらを
   並べなおしていました

蒼いビロウドの上に
少女は驚いて
紅いリボンの小さい箱を
そっと テーブルに載せると

夜の街へ駆け出してしまいました


  カレの胸のなかで
    たったひとつ 輝いていた

     ホンモノの星





          〜*かすりさんの童話館*〜


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さりげないすとーりぃー

今となってはさりげない物語
季節が変わる時の風の流れ
ひんやりと、胸の奥をつんとさせる匂い

並木通り裏の路地を、古い石の垣に沿って
ふたりの後をついて行った
嬉しくて飛ぶように歩いた

ギター聞かしてあげようか?
今すぐ?
うん、あまり時間ないし

古い曲がった松のはみだした塀には
バレエ教室の看板
あ、この道なら知ってる
と心でそっと叫ぶ
なのに、古い大きな家の門をくぐったら
そこは未知の世界の入り口のようだった

一目見た瞬間に恋にオチルという
私には関係ないと思われた事態に遭遇して
まだ1週間のふわふわな毎日だったのだ



あれは初夏のイベントに応募した時のこと
広告を見て途中参加したわたしは
故郷物産展でお菓子を売っていた
わたしのスペースはわたし独り
気楽そうな学生バイトやフリーターの仲良しグループ達が
新入りをチェックに来る
内心売り上げを気にしながらも、さりげなくにこやかに
暇な時にはほとんどお祭り気分
出入り業者のおぢさん達も若者に返ったつもりではしゃいでいた
そんなある日、女の子達が見せ合っていた可愛いキーホルダーを
わたしも作ってもらうことにしたのだ

あなたのお名前お入れします!
と書かれた狭いスペースに、うつむきがちにカレがいた
ゆっくりと見上げた視線から短いビームが発射されて
わたしの胸に突き刺さったのだった!
えっ?なに、なに?!なんなの?この笑顔って!
わたしは、その一瞬で恋にオチタ

それからの薔薇色の日々といったら・・・

朝起きて眠るまで、一日中、カレのことしか考えられなかった


○○博覧会のたくさん並んでいるテントのひとつが
わたしたちの仕事場だった
暇な時には自由に他のテントやイベントステージに
こっそり遊びに行ったりできたので
カレが自分のスペースを離れると後をつけて
ロックバンドのライヴの時は欠かさず抜け出した

小雨の降る或る日
いつもは人が並ぶアトラクションが閑散としていて、
係りの子がタダで入れてくれた
20人乗り位のスペースシップの席は半分の乗船率
ガイドの女の子がマイクで話し始め、船は地球を離れた
場内が暗転すると星が瞬き始めた
いつの間にかわたしたちはキスしていた
それまで食べていたアイスのミルク味だった

ギター聴かせてあげようか?
今日これから?

うん、今日は先輩来ないからさ



カレの相棒が少女漫画を渡してくれた
タイムスリップしたような不思議な場所に離れはあった
なんだか知らない曲をカレは弾いてくれた
そんなに速弾きでもなかった
けど、そんなことはどうでも良かった
わたしはただ笑っていたと思う
笑いながら漫画を読んでる振りをしていた
相棒がいろんな質問をしてきて
時々正直に答えながら、ギタープレイには無関心を装った

そのうち時間が来たらしく、彼らは出かけて行った
わたしはまだふわふわしながらも道を覚えておこうと思った



・・でも、忘れたさぁ〜!
本当に不思議空間だったから・・・

それから、何度かこっそりデイトを重ねたが
わたしは家庭の事情で、そこのバイトを辞めた
家庭の事情、、、
わたしは同棲中の男と引越しをしたのだった

to be continued