えくすくらめいしょん!


コスモスは 或る日
  かなしい目をして バラに言った

どうしても行くの?

バラは黙って目を伏せていた
どうしても行かなくちゃならないの?
その日からコスモスは毎日
かなしい目をして 立っていた
アカシアが何年ぶりかの花房を垂れて
坂道の視界をふさいでいた
コスモスは あの日
怖ろしい目をして
バラのうしろを歩いていた
バラは言葉を失くしてしまった
あのひとを殺さなきゃならないよ!
バラは黙ったままで ずんずん歩いた どこまでもどこまでも
やっと立ち止まり 振り向いたとき
コスモスは ずぅーっと遠くから 大声で叫んだ
本当はもう 殺してきたんだ!
そう言うとコスモスは
反対側に 駆け出して行った
バラはコスモスの脚に 頭を乗せて
山の頂上で 眠っていた

桃色のUFOが ぼくたちを連れに来たよ
でも 君が 行かないって言うんだ・・・
昨日みた ユメのはなし
バラは眠った振りをしていた
初夏の風が
遠くの海を波立てていた

ガゼルが死んだよ
読みかけの本をパタンと閉じて
コスモスが 呟いた

そうよ キクもアネモネも・・・
それから あたしも
バラは微笑んだ

チョコレィトコスモス