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THE BASIC IDEAS OF THE AFRICAN-ORIENTED ARTISTS:

アフリカン・アメリカンのピアニスト、ハービー・ハンコックのアルバム、『DIS IS DA DRUM』(1994)は、(自分のルーツである)アフリカンのドラミングに影響を受けたものだと分かるし、多くのアフリカン・アメリカンは、その、アフリカ産芸術を誇りに思い、自分のルーツとして、アートや音楽に反映させています。

アフリカン・アメリカンのみならず、世界各国の多くのミュージシャン、アーティストが、アフリカの、力強い大地に根付いた芸術に憧れ、そして、その地へ足を運び、さらにインスピレーションを受けて帰ってくるのです。

”人間の原点にかえることを学んだ”とは、画家・
岡本太郎です。
彼は1920年代からパリに暮らし、芸術活動をしてきました。
1985年11月1日-6日に、有楽町そごうで行われた、大々的なアフリカン・アート展に、こんな記を寄せています。



私がはじめてアフリカ黒人芸術のイメージにふれたのは、パリに暮らしはじめてから2年くらいたったときのことだった。

 1930年代のはじめ頃、一流の美術雑誌だったカイエダールが特集号としてアフリカの仮面や神像などの素晴らしい写真を集めて発行した。ページを繰るごとに、アッと叫び、心が走りだすような凄み。・・・・・・・・こんなものがあったとは!

 衝撃的だった。それまで思ってもみなかった、激しく、鋭い世界がひらけるのを感じた。
 確かに強烈だ。だが決して、いわゆる野蛮でない。人間の誇りと孤独が凝結したような、悲劇的な気品にみちている。
 その後、トロカデロの民俗学博物館に行って、なまに黒人芸術の迫力に接し、また一段と身を貫かれる思いがした。

 神秘でありながら、何となまなましい実在感が迫ってくるのだろう。こんな純粋な人間像があるだろうか。確かに異様に見える、けれどじっと見つめていると、これ以外の表現ではありえようがないと思われる、圧倒的な存在感をつき出して、まさにすべての像、マスクがすっくりと立ちあらわれ、迫ってくる。
 それは西洋美学の自然主義リアリズムとはまったく異質の表現だ。いわゆる「だまし絵」の、こまごまと*煩瑣な処理、ディテールを、ズバリ蹴とばしている。
                       (中略)
 アフリカは無限にひろい世界だ。さまざまの人種がそれぞれの歴史を背負って孤立していた。みんなナマ身で、自然と戦い、そのなかにとけ込んで生きてきたのだ。そのギリギリの生命の感動がここに凝結している。
 そこから私は多くの影響を受けた。職人芸の美術でなく、人間の原点にかえることが真の芸術であり、生き方なのだ。私自身は生活、そして作品のなかで、ずっとその筋を貫いてきたつもりだ。
                           *はんさ=細々して煩わしいこと


わたし自身、この考えをもって、アフリカン・アートに魅せられたひとりであり、岡本氏の言葉はまさに、外国人がアフリカン・アートに触れたときのショックとも言える、感動を的確に表しています。