クレヨン

クレヨンは、純粋無垢な子供の心を写す鏡。
子供にしか使うことを許されないモノ。
その絵は、決して色あせることは無い…

目の前に用意された、白い画用紙と12色のクレヨン。
僕の目には宝物にも見えるクレヨン。
みんなは8色、僕だけ12色。
なんて、気分が良いんだろう。
僕の好きな風景は…草原だ。
だから、下半分を緑で塗りつぶす。
次に上半分を青で…待った待った。
雲を描かなければいけない。
だから、雲の縁取りを描いて、その外を塗りつぶす。
その次は…花かな。
ピンク、黄色、黄緑。
僕のクレヨンは何でも出来る。
緑の上から塗っていく。
2つ、3つ描いていく。
良い。とても良い。

花を描いて満足した僕は、次に描くものを考えようと
クレヨンを箱に戻そうとして…違う手が伸びできた。
その手は、水色とか橙色とか、綺麗な色だけ掴んでもっていってしまった。
「お前なんかには贅沢すぎるんだよ」
憎らしい声の罵声。
君は、僕の楽しみを邪魔するのか。
僕のクレヨンは誰にも渡さない。
手近にあったものを掴む。
これは、油絵とか、大工さんが灰色のものを塗ったりするのに使うような形。
クレヨンを取り返すにはいい武器だ。

誰にも、渡さない…!