夜中の12時に合わせ鏡を覗き込むと
霊界に引きずり込まれてしまうとか、
夜中の2時に合わせ鏡をして、その間に小瓶を置くと
そこに悪魔がやってきて願い事をかなえてくれるんだって。
あ、だけど2時ジャストから
5分間の間に蓋を閉じないと逃げちゃうんだって。
真剣な顔で、俺の腕にしがみついている彼女は教えてくれた。
「…でもな、麻衣。それはここで言うべき事じゃないな」
「へ?」
今、二人で遊園地に遊びにきているところだ。
だが麻衣は極端に臆病だから、
ジェットコースターなんてもってのほかだ。
絶叫マシンが売りの遊園地で、俺たちは鏡の迷路に入っている。
「あ…ああぁ…合わせ鏡だらけだぁ…
早くここから逃げないと霊界に連れ去られるよぅ!」
「何をそんな子供じみたことを…ほれ、出口だぞ」
「あうあ〜…」
そして帰りの車の中でも、麻衣は合わせ鏡の場所を気にしている。
「学校のトイレも怪しいし…公衆電話とかでも少しは映るしなぁ…」
「まだ言ってるのか?」
「だって、連れ去られるんだよ?拉致だよ?神隠しだよ?」
「だからー…工業製品でどうやって連れ去られるのさ?」
「だって…覗いてみたら、ずーっと向こうまで続いてるんだもん」
「…それは、光の反射率が100%じゃないからであってな…」
「もぉ…そんな事ばっかりいって…
鏡台を3角にしたとこに縛って放置するぞ?」
「…別の意味で怖いんで止めて下さい…」
こんな、ちょっと世間からズレた娘ではあると思うが、
俺はこういう所が好きなのかもしれない…我がままは多いが。
「…何か?」
「いや、何も…」
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