ガムテープ

ガチャガチャという物音。
ドサドサという物音。
ビーッというガムテープを剥ぐ音。
ズズーッという、ダンボールを押しのける音。
そう、引越しのための荷造りをしている。
「これは〜?」
「だから、全部いるんだって」
で、手伝いをしてるのが加奈という奴なんだが…
「これもいるの?…何コレ?」
「そりゃピストンヘッドだ。要るぞ」
「…このバネも?」
「それはバルブスプリング。要る」
まぁ、何かとやかましいわけで。

「うっわ…重っ!」
「そっちは俺が持つから、加奈はそっちな」
「…って、これも十分に重いんだけど…」
「何だ、自慢の腕力はどうした?」
「何よ!いつもは「どこに筋肉あるんだよ」って言うくせに!」
「だから、いつもいつもそう言う加奈を買ってるんじゃないか」
「都合いいんだから…」
と言いつつ、片手で肩に担いでしまうあたりが恐ろしい。

「うっわー…エロ本ですか、アンタ」
「あ、コラ!そっち漁るな!」
「おー…出る出る…こういうのが趣味なんだ?」
「ええい、人の趣味を漁るな!」
自分でも忘れていた遺物を加奈から取り上げ、
片っ端からダンボールに詰めていく。
くそう…こんな所にあったんだ…
「はー、しっかり持っていくの…むっ!?」
くそう…黙らせるか。
俺は振り返り、不意打ち的に、加奈の唇を奪った。
ぎゅっと抱きしめ、キスしたままゆっくりと床に寝かせる。
そして…加奈の見えないところでガムテープを適当に切り…
「…ぷはっ!何をいきな…む"っ!」
ペーン!と加奈の口にガムテープを貼り付けた。
「少し黙ってなさい」
すでに目がとろけていた加奈が一気に怒り出した。
「む"−!むぅー!」
んー、面白い。
「…ま、ほんの御茶目だ」
そう言ってガムテープを剥ぎ、もう1度加奈に唇を重ねた…