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春先。 風はまだ冷たい。 「…こうして並んで歩くのも最後かもね」 このテストが終われば、あとは卒業するだけ。 この学校での生活に別れを告げなければならない。 「…そうだな…」 彼女とも、この春でお別れだ。 二人は皮肉にも、分野も場所も正反対の高校へ通うことになっている。 「…寒いね」 この道を通るのもあと僅かの間だけ。 もうすぐ二人は、別々の道を歩まなければならない。 「…もう3月なのにな」 今という時間は、かけがえのないほど貴重な時間であるはずだ。 なのに、その貴重な時間をどうすればいいのかも分からない。 「…あ、でも」 彼女が駆け出す。 その先には、黄色い菜の花が咲いていた。 「…もう咲いてるのか」 追いつくと、彼女は花を摘み、何かを作っていた。 それをしばらく見守っていると…出来たようだ。 「ほら、菜の花の指輪」 それは、鮮やかな黄色と緑の指輪。 片方を俺の、もう片方を自分の指にはめる。 「…器用なんだな」 この腕なら、花冠も作れただろう。 だが、彼女は最小限の花だけで作りたかったらしい。 「これで…おそろいだね?」 白く、細長い指に黄色が映える。 そして何よりも、少し恥ずかしがりながら笑みを浮かべる彼女。 「こりゃあ、大切にしないとな」
けれど、この花が枯れる頃には、お互いを忘れてしまっているかもしれない。
指輪の菜の花が散る頃、二人は全く違う環境に移り、 |