小指の爪

「ゆりゆり〜〜♪」
教室の端から、廊下まで響く声で呼ばれた。
昼休みで騒がしいとはいえ…人前ではやっぱり恥ずかしい。
声の主は美紀ちゃんだ。
「そのあだ名やめてってば…」
もちろん、改善の兆しはない。
「まぁまぁ…どうしても言っておきたい事があるのよ」
いつの間にか、加奈ちゃんまで横にいた。
「は…はぁ…」
2人が正面と隣りに座る。

「前々から思ってたんだけどね…」
「?」
「…その肌!その髪!その顔立ち!
 生まれ持ったにしては、神様与えすぎてない!?」
「…えぇ?」
ふと見ると、教室にいる女子全員が頷いていた。
「いや、え…ほら、どこにだっている無愛想な女だぞ?」
「自分でそう思っていても、その自然とかもし出される高貴さ!
 もう男子全員が心奪われてるのよ!」
再びクラス中の女子が頷く。
「いや、それは言い過ぎじゃないかな…」
「ふふ…涼、その辺ドウなの?」
「そりゃもう、バッチリ姐御に魅了されてまさぁ」
川本君も、これでもかという笑顔で親指を立てている。
「姐御言うな!…ま、まぁ、そうなのか?」
「そうそう。そこで…」
急に、2人から不穏な空気が流れてきた。
なにやらごそごそと、自分の鞄を探っている。
「…??」

「…化粧ターイム!」

「えぇ!?」
と言うが早いか、女子が全員こちらにやってきた。
「前から気になってたのよねー。
 化粧するとどこまで綺麗になるのかなってね」
「あーそうそう。私たちもずっと気になってたのよー」
「でもこれならファウンデーションもいらないかも?いいなー」
7〜8人に増えたギャラリーが好き放題言ってくれている。
「いや、えーっと…私、化粧は嫌いなんだが…」
「あらあら、百合ちゃん。こういう時、何て言うか知ってる?」
「…あんまり聞きたくない」
「物分りがいいのねぇ…『問答無用』よー!」


暑さ寒さも彼岸まで、とは言うが、
今年は彼岸が過ぎてもまだ暑い。
授業終了後、柊の元へ行く…文化祭の役員会の件だ。
「柊ー。文化祭の役…」
「ん?」
…正直、振り返った柊に、完全に心を奪われた。
何秒そうしてたか、自分でも分からないが…柊の声で我に返った。
「…どうしたの?」
「…! …あ、あ、あぁ…えっと、文化祭の役員会だ。
 今週末にやるってさ」
「…うん、わかった」
確かに、柊は前から綺麗だなとは思っていたが…これほどだったか?
熱気で頭がヤられたか、他の何かか…
というところまで巡った所で気が付いた。
「…あれ、小指。ネイルアート?」
「ん?あ、うん。美紀ちゃんたちにやられてね…」
柊が差し出した小指には、薄紅色の下地に
ラメで流れ星が描かれている。
「細かいなぁ…」
それにしても細い指だな…
相変わらず色も白いし…
「…あ、えーっと…用件は終わり?」
「…あ、あぁ。悪ぃ、そんだけ」
そう言うと、柊は恥ずかしそうに手を後ろにやった。
よく見ると、うっすらと化粧をしてるのが見える。
言われてみれば、柊が化粧してるのなんて初めて見るな…
さっきからボーッっとしてしまうのも、我ながら納得できる。
やっぱり思った通り、化粧をするとさらに女らしく…ん?

「柊、口調変わってないか?」
「え?あ、うん。こういうこと(小指)もしたし、
 多少は女らしくしてみるかな、と思ってな。…あぁ!」
「うぉ!?」
急に大声を出されて、思わずビックリしてしまった。
「はいアウトぉー!」
後ろの窓から、美紀子が現れた。
「うわ!いたのかよっ」
「うわ、って酷いわねぇ」
「つーか盗み聞きか?躾のなってないヤツだな」
「そりゃー、ネイルやったの私だもん。気になるでしょ」
「分からんでもないが…で、何がアウトなんだ?」
柊の隣りに移動した美紀子が改めて説明する。
「いやぁ、ユリユリを化粧したらどこまで綺麗になるかなと。
 予想通り、アンタもバッチリ揺れてたわねぇ」
「タチ悪い女だな…」
「とゆーか、よくネイルアートに気付いたわねぇ」
「ん?あぁ、柊が何か言いたそうな顔してたから…」
「……」
じーっ、と、柊の顔をみる美紀子。
「じゃ、今は?」
「…照れてる。あと、ちょっと困ってる」
再び、じーっと見る。
「じゃあ私は?」
「…のーてんき」
「何おう!?」
「はいはいはい、漫才はそのくらいにして」

いつの間にか加奈もいた。
「そっちも前から聞きたかったんだけど、
 よくそんなに百合ちゃんの心理が分かるわねぇ…」
「ん?だって、顔に書いてあるぜ?」
じーーっ、と、2人して柊を見る美紀子と加奈。
「…分かるのはタツだけよ…
 百合ちゃん、ほっとんど表情に出ないんだもん」
「そうかなぁ…でだ。何がアウトなんだ?」
「ん?あぁ。ユリユリがいつまで女言葉でいられるかなぁってねー」
…よく見ると、柊は怯えているようだ。
「…程々にな」
「あら、私達がナニをするかも分かるの?」
「美紀のその口調で大方予想がつく」
「タツったら…だめよ。このHPは18Kじゃないのよ」
「いや、俺は何も言ってない」
「ま、似たようなものだけどね」

『ちゃうわい!』

「…誰?」
「さぁ」


半年振りにコンニチワー
いやもう、仕事の年末ラッシュがまだ続いておりますね。
いい加減ラクにしておくれ…

この春に正社員に決まって収入も安定し、
パソコンの方も順調に育っているので、
そろそろ部屋の模様替えをしたいなぁと…
それが日記のエレクタなワケですが。

…ぶっちゃけ高ぇ…
金属の塊を買うわけなので値段も張るのですが、
これほどとわ…先は長そう。