言葉の由来を語って挨拶指導をする
長州教育サークル 八代真一 平成12年10月2日更新
現在使われている日本語の挨拶の言葉は、元々の言葉を省略した形で使われている。
おはよう→お早くから、ご苦労様でございます こんにちは→今日は、ご機嫌いかがですか こんばんは→今晩は、いかがいたしましょうか |
以上のように、元々は相手に対する思いやりの気持ちから発したのが、日本語の挨拶である。
なぜ、朝の挨拶は「おはよう」なのか。
なぜ、昼の挨拶は「こんにちは」なのか。
なぜ、夜の挨拶は「今晩は」なのか。
挨拶の言葉の由来を語ることで、挨拶の指導をおこなう。
以下、実践をもとに示す。
1 「こんにちは」なのか「こんにちわ」なのか
いきなり、次のように板書する。
板書 こんにちは こんにちわ |
発問1 どちらが正しいのでしょうか |
どちらかに挙手させる。
そして、理由がある子どもには発表させる。
2 「こんにちは」の続きを教える
「こんにちはには、続きがあるのです」と言って次のように板書する。
板書 こんにちは、ごきげんいかがですか こんにちわ、ごきげんいかがですか |
そして問う。
発問2 こんにち(は)ですか、こんにち(わ)ですか。 |
子どもたちは「は」だと言う。
「そうですね。ごきげんいかがですか、という続きの言葉が省略されているので、「こんにちは」が正解です。ただし、最近は「こんにちわ」と書く人もいます。ですが、元々は、「こんにちは」が正式なのです」
3 「こんにち」に漢字を当てはめる
そして、次のように問う。
発問3 「こんにちは、ごきげんいかがですか」の「こんにちは」の中に、漢字が隠されています。どんな漢字でしょうか |
挙手させて発表させる。
こんにちは=今日は である。
板書 今 日 は こんにちは、ごきげんいかがですか |
説明 「こんにちは」は昔むかしは、「今日は、ご機嫌いかがですか」と言っていました。お昼に初めて会った人に対して、体の調子や心の様子を気遣っていたのです。つまり、相手に対する思いやりですね。 |
4 「おはよう」の由来を語る
説明 朝の挨拶である「おはよう」も、元々は次のように言っていたのです。 「お早くから、ご苦労様です。」 こんなに朝早くから、お仕事ご苦労様でございます、という意味なのです。 朝早くから仕事をする人に対する心遣いの言葉です。 これも、相手に対する思いやりですね。 |
5 「こんばんは」の由来を語る
「では、こんばんは、はどうでしょうか」と言って、次のように問う。
発問4 こんばん(は)でしょうか、こんばん(わ)でしょうか |
子どもたちは、「こんにちは」の事を習ったので、ほとんどが「こんばんは」だと言う。
そこでまた問う。
発問5 どうして、こんばん(わ)でなくて、こんばん(は)だと思ったのですか |
子どもたちは、「こんばんは」の続きがあるだろうと言う。
説明 賢いなあ。実は、こんばんは、にも続きがあるのです。 |
そして、次のように板書する。
板書 今 晩 は こんばんは |
説明 つまり、「こんばんは」の挨拶は、相手の今晩の都合を聞いていたのです。これも相手の都合を優先させる思いやりですね。 |
6 日本語の挨拶は全て思いやりの言葉である
そして、最後に次のように言う。
説明 このように、日本語のあいさつ、「おはよう」も「こんにちは」も「こんばんは」も、全て相手に対する思いやりの言葉なのです。 みなさんも、挨拶をするときは、相手に対して思いやりをこめてしましょうね。 |