女ねずみ おきの

 

 

「平四朗。。。って、誰?」

と、名和『元四郎』はおきのに言った。

「え、なんのことかしら?」

とぼけるおきのの顔には、動揺の色が隠せない。

「さては、おまえ、浮気をしておるなあああ!許さーーん!」

(・・・って、さっき逢ったばっかりなのに)

と、ますます動揺するおきのに

「貴様、許さん、こうしてくれるッ」

「あ、旦那、さっきしたばかりなのに・・・」

「うるさいッ」

「ん、んん、あ、ああああ・・・」

 

・・・・18禁のシーン・・・

 

と、寝息をたてる元四郎の腕の中でおきのは目覚めた。

 

天井裏には人の気配がする。

「そろそろね」

 

身を おこしたおきの

いつのまにか 黒装束に 身をかため

てんじょうに向かい 一言

「蔵吉 行くよ!」

二つの風が 今夜も 江戸の町を 切りさいてゆく

おきのとは いったい何者なのか

「あねさん 今夜で最後にしておくんなせえ

南町も そろそろ 動き始めておりやす。。。」

「なにを気の弱いことを  

目的を 果たすまでは 私一人になったってやってやる」

 

 

 

 

 

ここは 住む 主もいない あれ寺

ふたつの 荒い 息づかいが・・・

「はあ はあ だから いやな予感が してたんだ

 もうすこしで 取り方に 囲まれるとこだった

もう やめやしょうや ここらが 潮時ってもんです」

「チっ あたしとしたことが

蔵吉 あんたには もう めいわくは かけられない

あとは あたし 一人で なんとか するよ 国へ かえんな」

「なにを おっしゃるんですか

あっしは ただ 姉さんのことが 心配なんでさあ

  三河やのけんといい・・」

「あー あれは おしいことを したねー

三河屋の ごうつく おやじ まったく 女には 興味がない

陰間(男色)がよいが 世間体がわるいってんで

ばんとうの 忠介が 苦肉の策で

長唄の師匠やってた あたしのとこへ

毎日遊んで いい金になるからと 話を もちかけてくるまでは

今度のことも おもいつかなかったさ

まさか 大店の女将が ねずみだなんてね

いいかくれみの だったのに ざんねんだねえ・・・」

 

 

 

「おい、おきの、良い天気じゃのう」

元四郎とおきのは連れ立って神田川沿いの土手を

中野の方面へと歩いていた。

ほどなく、善福寺川と合流しようとする辺りで

「きゃあー!誰かあ!」という女の悲鳴が聞こえた。

「だ、旦那、あそこ!」とおきのの指差した川面に

小さな子供がおぼれているのが見えた。

叫んでいるのは子供の母親であろうか。。。

と思うまもなく、元四郎は腰に差している

太刀と脇差を投げ捨てたかと思うと

ザブンッと川に飛び込んだ。

 

ほどなく、子供を助けて川岸へとあがってきた元四郎は

「ひえっくしょい」とクサメをひとつして

「おうボウズ、よくがんばったな」と子供の頭を撫ぜてやった。

 

駆け寄って「たか坊!」と、子供をぎゅっと抱きしめた母親が

お礼を言おうと辺りを見回したときには

すでに元四郎の姿はなかった。

「ねえ旦那、これ、大切なんじゃないの?」

と、おきのが差し出した愛刀を「ん、あ、ああ」と受け取りながら

「人の命より大切なもんはねーよ」

といって、また大きなクサメをひとつした。

 

 

神田川沿いの土手を

一人の 男が 歩いてくる

「まいったなー どうすれば いいんだー

南町の 鬼常といやあ、ぬすっとなかまの あいだでも

たいした 切れ者と おそれられているおかっぴきだ

これだから しろうとは 困るんだよ、ちっ。

ここまできたからには

名和のだんなに あらいざらい 話して

力になって もらうしか・・・」

 

その頃、名和元四郎は知己の友人である

畠山同心宅を訪ねて居た。

 

「おお、畠山どの!お久しぶりにござる。」

「これは名和の若様、元気にしておられたかな。して先生は?」

「・・・先ごろ、他界いたしまして。。」

「そうでございましたか。残念にございまする。」

「いやいや。かつてうちの道場で一、二を争った腕前の畠山どのに恐縮

されては、こちらが。。」

「とんでもござらぬ」

「して、畠山どのは、たしか町奉行同心でございましたな。」

「いかにも、最近盗みも多く、難儀しておりますわ。いやいや。」

この時代、まだ「火付け盗賊改め」は設置されておらず、刑事は専ら町

奉行所の役割であった。

「まあ、今月は非番月なので、書き物の整理におわれておりますが。。」

「畠山どの、折り入ってお尋ねしたきことが。」

「なんでござるかな?お力になれることならば。」

「柳生文五郎なる剣客を覚えておいでかな?・・・」

「もちろん」・・・・・・・・

と、話しながら去るふたりの侍の背中をじっと見つめている目があった。

 

 

風にゆれる やなぎの木の下

身じろぎひとつせずに

渡良瀬川の川原で、ひとりの侍が

ずっと流れを見ている。

その侍の横顔は、なぜか寂しそうだ。

「早くお雪の手がかりみつけないと、ネタがもたん」

と、石を拾って川面に投げた。

「ポチャン・・・」

小さな音をたてて、投げた石は水底へ吸い込まれていった。

「そろそろ帰るとするか。」

腰をあげた侍は、右手を懐手にして歩きはじめた。

「♪さらば〜お江戸よォ、旅発つ時はァ荷物〜まとめてェ、ヤマト〜♪」

侍の目の前を黒猫が横切っている。。。

「おきのに、薔薇でも買って帰ってやるか。」

「♪お江戸を離れ因幡の国へ運命背負い、今旅発つ〜、必ずここへ〜・・・・」

「にゃあお」小さくなっていく侍の背中を黒猫だけが見ていた。

 

 

ここは例の巣鴨村のはずれの古びた百姓家

「おい、おきの、帰ったよ。あれ、おきの。。?」

しかし、家の中にはおきのの姿はみあたらない。

 

「どこいきやがった?芝居見物か?」

奥の座敷にはいり、ごそごそとしはじめる元四郎。

 

半刻ほどして玄関先の土間に姿を見せた元四郎は、

旅装束に身を包んでいた。

振り返り部屋の中を見渡す元四郎。

「・・・おきの」

口の中で、声にならない声でつぶやき、表へと出て行った元四郎を

畳の上に残された一輪の薔薇だけが見送った。

 

 

 

 

 

 

 

☆<おきの外伝T>☆

 

それはおきのが しばい小屋へ むかうまえのことだった

ぼんやりと 橋のたもとにたち

風にゆれる やなぎの木の下で

何を 思い出しているのか

さみしげに 肩をおとし

やなぎの 枝を手にとり  ため息を一つそこへひとりの わかものが・・

「ねえさん だれかと 待ち合わせかい?」

ふり向いた おきのの ほほに 涙の あとが 一筋

あわてて

「ちょっと 目に ごみが・・」

こすって ごまかしてはみたものの

あいては それに きずいているのか

「あ!すまねえ けして あやしいもんじゃねえ

じつはね おいらも だいじな 人に すっぽかされちまったもんでね

心配しないでおくんなさいよ

ここに 芝居の 特別招待券が 2枚あるんだが

これは もう おいら一人が もっていても しかたがなくなっちまったもんでね

よかったら 1枚 もらってくれないかい」

「・・・」

よくみれば 武田真治そっくりな美少年 

おもわず みとれていると

「じゃあ これ わたしたからね」

そういって 券を むりやり

おきのの 手に にぎらせて たちさっていった

演目を見て  またびっくり

なんと監督 主演 武術指導まで 一人で やってしまうという

香港映画巣多ー邪紀伊チェン 主演

「酔拳 2」

「こ。。これは みなくては」

演目の最後に催される 獲ぬ辞意集は 涙なしで みることはできない

というもの

 

「ちょっと ちょっとまってー」

どんどん 手を ひかれ

おきのは 人ごみのなかへ

「ほら!」

武田真治似の美少年のゆびさすほうをみれば

そこには きんぎょすくい

「今度は こっち」

あめ細工を ふたりで かって

出店めぐりは まだまだつづくのであった

 

 

でみせめぐりの 最中

おきのと美少年の 様子を うかがってる人影

音もなく近ずくと

やにわに 少年の うでを ひねりあげた

「う!なにすんでい」

おきのも 気配をころした みのこなしに

気づくことは できなかった

「ちょっと おまえさん スリの銀治だろ」

みれば おきのより 2・3年下であろうか

いきな ねえさんが たんかをきっていた

ただ おどろくばかりの おきのに

「ふところのもんは だいじょうぶかい?」

「え!。。。ええ」

「ちがうよ ちがうんだってば」

「こんどばかりは 許してやろうじゃないか はやく いっちまいな」

そうか そうだったんだ

ぼーぜんと たちすくむ おきの

「姉さん よかったら あたしと 出店見物でもどうだい!」

まだ日が暮れるまでには 間がある

「ありがとう」

初めてあったはずなのに ふしぎと

話の合う 二人

「へえー めずらしい

寺の 本堂で 絵師 東山魁夷 一般公開 やってるんですって」

と おきのが言えば

「え!わたしも これみたかったんだよねー」

おたがい なまえも きかず

数年来の 友達のように 楽しげに 時間をすごした

「また どこかで あえるといいね」

「ほんとに」

さよならもいわず わかれた ふたり

おきのは まだしらない

元四郎の旅立ちを

おきのの うしろすがたを 見送る 

なぞの 女性

 

<特別参加 お雪駄目恋編>

ふりむきざまに ぶつかってきた 人影が

「お嬢さん だいじょうぶですか?」

「え!・・・」

目を あげれば そこに 

ぬわんと 東山紀之似の 少年が・・・

「ドクドクドク。。。」

お雪の腎臓が・・もとい。心臓がいやがおうにもと高鳴る。

別に痛い所はないけれど、ここはそれ、

おきのさんが与えてくださったせっかくのチャンス

これを逃しては女が廃るってもんだ。

「はい、実は足首を少し捻ったようで・・あっ、痛ィ。」

といつもよりも数段かわいい声でそういい足首を擦ってみる。

「おっと、それはいけねぇや。こんな所にいてもなんだから

あっちの縁台まで行きましょう。ほら、俺の肩に捕まって。」

「あら、まあ・・・そんな」と恥じらいながらも厚かましくその

逞しい肩にもたれかかる。

<ふふ、、役得、役得>

その男前は腰に下げていた日本手ぬぐいで

さりげなく縁台をササッと祓って

「さあ、ここに御座りなさい」と紳士的にエスコートする。

そして「なにか飲まない?ちょっと待っててくださいよ」

といって縁店に消えて行く男前。

<おばかさん。あなたが居てくれればそれだけでいいのにv>

程なく両手に羅宗を握り締め笑顔で近づいてくる男前発見!

こっちも零れんばかりの笑顔で迎える。

羅宗を受け取り、お礼を言うが、なにか調子が違う。

なぜなら男前の傍らに年配の女性が立っている。

そして頬をピンクに染めて「紹介するね。」といわれた。

<なになに。。この展開。もう、お母様を紹介して、

結婚を前提にとか言うわけ??まだ、覚悟が〜〜〜>

肝臓が。。もとい、心臓が口から飛び出しそうになるのを

押さえつつ、続く言葉を待つ。

「この人は僕のフィアンセの光子ちゃんです。」

「・・・・・・・・・」

 

 

バッキャ〜ロ〜〜〜!!!

演技している事も忘れてその場から飛んで帰った

勘違い女お雪。

橋の袂にもたれ、ひとこと呟いた。

 

「佐助。。今どこに居るの?」

 

 

おきの お留守番編へGO!


我等がkakoさんの活躍する作品

まだまだ続く・・・だろうか。

*18禁シーンの隠し、このページにあります。ふふ、