俳句集2
1997年夏休みの日記より

「おかげかな ウニやサザイを 夏のとも」
 
  「この夏に 焼くはサザイか 島の香」
 
  「磯遊び 海 空 蒼や  一段と」 

 「丸鯵の 小さな群れと 付き合って」 

  「夏休み フナムシ タコや  アブラメや

「オカカ 夜 ウニのしごして 夏休み」

「鯵の子が 今年も運ぶ 夏休み」

「山道の 木陰の珈琲 喫茶天」
 
「島磯の 釣りと潜りと 親子かな」
 
「五月丸 逃がしたタコの 苦い顔」

「コージロの 目に濃い緑 初の鯖」   

「紀くんや 子供時代の 名残かな」

「南風吹かば 思い起せよ 台風」    ※南風=マジと読む

「 西風吹かば 漁を忘れて よそ見かな」 ※西風=ニシ

「それぞれの 思いの丈の 夏休み」

「七月の ウニとサザイに 夫婦連れ」

「晩酌を 控えて臨む 手習いや」

「賑わいが 夏一番の おらが磯」

「明るさと ひとつになった たくましさ」

「中年の 感心誘う エンジンかな」

「初めての 船を動かし 波に乗る」

「公園の ふちを通って 散歩かな」

「中年の 頭を使って リフレッシュ」
  
「中年の 体を使って ギクシャック」

「台風が 早めて手にする 免許かな」

「釣り好きの 息子が結ぶ 釣り仲間」

「缶ビール 唄と話に うなづいて」
 
「草臥れが 飲んで漂う 夢の道」

「釘打ちの 曲がりに思わず 独り言」
 
「行いに つながる程の 想いかな」
「盆前の 山越ゆ雲の ある夏や」
 
「雑草の 夏の盛りの 雨に濃く」
 
「雑草の 丈の高さや 雨の濃さ」
 
「煙突を 付けて暮らしの 息吹かな」

「台風の 動きがせかす 屋根の上」

「三人で 踊る言葉の かしましく」

「四方山の 噂が宵の 肴かな」

「なつかしき ほどの御無沙汰 磯の香」

「打ち寄せて 引き去るアビキ 磯遊び」

「アビキ去り 夏が再び 磯久しき」

「味若し ヤズの刺身で 麦酒かな」

「両腕に 夏のいれずみ サシモかな」

「仕事中 おらが想いは おらが磯」

「公園の ヨボシの鯵に 秋の顔」

「もぶれつく サガリのヤズの 祭りかな」

「初めての 沖での釣りに 小鯛かな」

「静か夜に ジンベエザメの 便りかな」

「缶詰を つつく二人の 夕べかな」

「寝そべって 読み出した本に 揺さ振られ」

「トビイシの セトガイ息吹く 海牧場」

「東大寺 大仏の鼻 狭きユウベエ」

「着くまでに 酔って暑さの 吉見港」