平の小屋の写真のページ 平の小屋の写真のページ2 平シラサキ暗渠ページ
町のホームページより棚田があります
2003.9.22ソーズイに行っての帰り道に、シラサキで作業をしていた平の万次さんに田や山小屋を作った話を聞く。大きな石がゴロゴロあるところを祝島では「ゴーヤ」というが、平さんの田はそんなゴーヤに作ったのである。斜面の角度はほぼ45゚。万次さんもそのお父さんと一緒に田んぼを二つ作ったそうである。その田んぼを作り始めた時、万次さんのお祖父さんの年齢は70才。その田んぼを作った後、その田んぼ用のため池をつくってやろう、と作りかけ、完成する前に80才で亡くなったと言うことだ。70才で作ろうと作り始めたその心意気が、まずすごいと万次さんも今更ながら感心していた。本当にそうである。ほとんどの作業を個人で、人力で作った石垣とは考えられないくらい立派な石垣であり、田である。田の土も一級品だそうだ。ゴーヤにたまっている土は腐葉土でいい土だという。その土を田の表土に使っている。万次さんが手伝って作った田は今はミカン畑になっているが、ミカンの味もいいという。「ゴーヤ」の土については初めて聞いた。コッコーがゴーヤの石だらけの所に育ち実を付けているのは、このゴーヤの土のおかげと思い当たる。
田の表土の下には厚さ1.5mくらいの石混じりの土の層、さらにその下は石で出来ていると言うことだ。土は平地が出来たところに山盛りに土を盛り上げながら分けるそうである。山盛りの上の部分に細かい粒の表土になる土が残り、小石などは下側に積もると言うことだ。大きな土の山がいくつか出来た段階で、人手を頼んで拡げて、田を仕上げていくと言うことである。
平さんの山小屋も立派である。今はテーラーの通る道があるが、以前は人が一人通れるという道だった。小屋を造る材料は全て人力で運んだのである。棟の大きな木はオオトオから伐り出したそうだ。のじ板にあたる竹はウメノカタから船で運び、シラサキの磯から運び上げたそうだ。下の階は牛小屋と倉庫(農機具等の物置)で、二階の部分は板の間が二部屋と、囲炉裏が付け加えられてある。平さんのお祖父さんが自分で造ったものである。製材された角材ではなく、山から切り出した自然木で全て賄っているのだ。今も、大きな鋸が壁に掛けてあった。
頭も体も一杯に使えば、これだけの仕事が出来るのかと驚嘆する。おらが推薦「山小屋小博物館」である。
平の山小屋(立派な住宅) | 棟の木はオオトオから切り だしたそうである。 |
竹はウメノカタから運んだ もの。 |
壁は白壁 | 自在付の囲炉裏もある。 | 米の貯蔵タンク |
ロクロの台の部分 | 石を運ぶためのロープ | 石を運ぶモッコの一部 |
田の石垣 | 石を運ぶ台車の車輪 | 石を運ぶ台車(出ている軸に 左の車輪をはめる) |
同級生の江本友之輔君から平の小屋の写真が届きました。
江本君の写真 |
平の小屋 その2(ですます調)
2003.11.15ソーズイに柿をもぎに行っての帰り道、また平の万次さんに話を聞くことが出来ました。昨日中国新聞の人が来て、取材をしたと言うことです。
この前(2003.9.22)の時より石垣がきれいになっていました。カズラを切り払ってみると大きな石が組まれているのにあらためて気づいたと言うことです。石垣に組むために使われている石としては確かにたまげます。最後に据えるときが至難の業のようです。確かに動かすことさえ難しいと思いますが、思ったところにピタッと据えるのはちょっと考えられないくらいの技でしょう。3〜4人でテコを使って据えると言うことです。3〜4人の呼吸がピタリと合わなくてはできないということです。大きい石は据えた後に再度動かすことはもうほとんど不可能と言うことです。使っていたテコの1本が残っていたので見せてもらいました。つるはしもも1本ありました。
前回の話に出た、作りかけのため池の所にも行ってみました。池からの水の取り出し口は出来ていました(当然なのでしょうが)。頭の中に設計図が出来ていなくては出来ない作業です。あらためて人間はすごいと思いました。
大きな石と万次さん(170cm) | ||
テコ(柄は椿の木やカタギを 使っていたようです。) |
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ツルハシとチェーン | ||
部屋の中の練り塀とチェーン | ||
作りかけのため池の水の取り出し口用の暗渠 この中を土管を通す計画だったようです。 直接土管を埋めるとどうしてもゆがみによる圧で土管が 壊れる(ひび割れができる)ので、そうしようと考えた様です。 |
平の小屋その3
03/12/14撮影
中国新聞に掲載された後、広島から ぼつぼつ訪れる人がいるようです。 この日(03/12/14)も訪問者が ありました。 |
平の小屋その4 2003年12月25日
ヨットのエンジントラブルで、臨時的に祝島に寄港した金さん、林さんと一緒に石垣を見に行きました。石垣の草刈りもしようかなと考えていましたが、草刈りの必要なところは平さんがすでにやっていました。残ったところは残ったままの方が良いだろうとの平さんの判断です。ツタが覆っている方が、雨もかからないで石が保護されるという一面もあるようです。
大きな石には割るために発破をかけた穴や、くさび(矢)を打ちこんだ跡があります。その穴が、石の下側にあります。割って置こうとする所に合うように形を整えた後に石を据えたことが、平さんの説明を聞くとよく解ります。
上の石の下側の左から 三分の一あたりの穴の跡が 発破をかけた穴です。 左の写真は金さん、林さんと 平さん |