短歌のページ 2001夏休み日記帳より
「夏休み 楽しみましょう 何か待つ
胸のときめき 磯 海 人」
「潜りては 浮かぶ波間の 微笑みの
採ったサザイの大きさ映して」
「走ったり 泳いだりの夏休み
のんびり満ち足り 言葉少なし」
「生きていく 味わいの海 磯の香の
家にも漂い うなづいて飲む」
「磯静か 夏のひざしに 瀬の焼かれ
熱い陽炎 雨の恋しき」
「この夏の 日照り続きの 草むらの
アシナガバチの 低き巣多し」
「冷やしたり アロエの汁を 塗ったりと
たつってみるが なお腫れにけり」
「夏風邪に 元気な子供が おとなしく
海を思って 昼寝そびれる」
「舟歌を 歌って酔って 朦朧と
夢とうつつが 波の間に間に」
「台風の 気配の濃い 足摺より
瀬戸内に着くや 頬ずりぞ待つ」
「老眼の 眼鏡をかけて 見るアジの
刺身のツヤぞ さらに味を増す」
「いとおしき 子のそばにいて 海を見る
なぜか一人星空見るに似る」
「沖に出て 魚もイカも つれなくて
島影に沈む 夕日を眺める」
「夕方の 凪に誘われ 出す船に
幾晩の肴 幾夜の語らい」
「しぶしぶと 泳ぎを控えて 家の中
冷えたブドウに 一時涼し」
「磯の瀬の 昔ながらの たたずまい
波休み無く 打ち寄せ続くに」
「蔓草の 木々の肩越え 乗り出して
空に手をかけ 秋の来るまで」
「夏空に 雲の峰聳ゆ はるかなる
伊予灘の上 虹をたすきに」
「夏来れば 釣りにて遊び 潜りても遊ぶ
無人の小島なれど懐かし」
「周防灘 西の太陽 国東の
影を描いて 静かに降りる」
「食卓を 飾るいろいろ 祝島
作り手の顔 思い浮かべて」
「夏の海 島の南に 漕ぎ出でて
黒潮より入る 魚に出合う」
「ひさかたの 日々を重ねた それぞれの
集いに弾む ひさかたの日々」
「便りあり 東と北より 海を越え
手元に届く また楽しからず也」
「うち寄せて また帰るらむ 磯の波
島に帰りて また帰る人波」
「台風の 前略に似て アビキ寄す
さまざまに似て 似ることに学ぶ」
「台風に 備えて構える 僚船の
避難港に 落ち着きにけり」
「陽が漏れず 夏を忘れる 曇り日に
送る封書に 炎暑の写真」
「ひさかたの 雨の祝島 北の風
遙か洋上 台風の行く」
「朝晩の わずかに涼しさ 見え隠れ
小さい秋の どこかに潜む」
「秋がすぐ 近くにいるとの 伝言を
旬の魚に 託し届ける」
「秋がすぐ 近くにいるとの 伝言を
旬の魚に 託し届ける
「稔るほど 稲穂は垂れて 充ち足れる
島の棚田に 稲刈り始まる」
「瀬戸内の 小島の浜に たたずんで
いにしえの海 往く人を想う」
「ウシビタに 重なる声の 共にある
ツクツクホウシ 暑さに遅れし」
「ひさかたの 空の青さに 誘われて
秋の気配を 沖に味わう」
「走ったり 泳いだりの 夏休み
秋来たりなば ハマチなやさん」
「夕まじめ 潮の変わり目 さざ波に
気持ちのはやり 魚の囁き」
「秋桜の 咲く道ばたに 珍しく
鼻繰りの方より東風が吹く」
「ヤズの涌く 瀬戸の海から 気まぐれの
夏の終わりを 便りに載せる」